前集007|人生の修行においては、奇抜ではなく、正攻法で徳を積む

前集001-020

起(原文)

醲肥辛甘 非真味 真味只是淡
神奇卓異 非至人 至人只是常

醲肥辛甘は、真味にあらず。
真味は、ただこれ淡。
神奇卓異は、至人にあらず。
至人は、ただこれ常。

醲肥辛甘、のうひしんかん:濃い酒、肥えた肉、辛いもの、甘いもの
神奇卓異:人智を超えた奇抜さ、世人と異なる卓越さ


承(意訳)

濃い酒や脂ののった肉、強い辛味や甘味は、確かに一種の美味ではあります。しかし、それらはいずれも刺激の強い偏った味であり、真の味とは言えません。真に味わい深いものは、米のように淡泊で、飽きのこないものです。

同じように、奇抜で人目を引くことが、道徳的に究極の人物である証ではありません。至人と呼ばれる存在は、特別なことをする人ではなく、日常の中で当たり前のことを、当たり前に行い続ける人です。


転(別視点)

本当に味わい深いものは、食べ物でも人でも、偏りのない普通のものなのかもしれません。人を雇う場面などで、「これほど平凡な人がいないものか」と感じた経験は、多くの人にあるでしょう。

もっとも、個性そのものが不要だというわけではありません。平凡の対義語は奇抜ですが、個性と奇抜さは同義ではありません。求められるのは、奇をてらわない個性だと言えそうです。


結(まとめ)

味わい深いものほど、静かで平凡な姿をしています。
人としての修行もまた、目立つことを狙うのではなく、正攻法で徳を積み重ねていくところに、本質があります。

奇抜さよりも、積み重ね。
それが、長い人生を支える確かな道なのでしょう。

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