起(原文)
恩裡由来生害
故快意時 須早回頭
敗後或反成㓛
故拂心處 莫便放手
恩裡由来、害を生ず。
故に快意の時、すべからく早く頭を回すべし。
敗後、あるいは反って功を成す。
故に心にもとるところ、すなわち手を放つことなかれ。
恩裡:恩恵を受け、順風満帆な状態
承(意訳)
人から評価され、物事が順調に進み、
周囲の恩恵を受けているときほど、実は危うい時期はありません。
調子が良く、気分が高揚しているときこそ、
思わぬ落とし穴や不測の事態が生じやすいものです。
だからこそ、快調なときには一度立ち止まり、
進む方向を静かに見直す慎重さが求められます。
順調なときこそ、耳の痛い忠言に耳を傾ける姿勢が重要になります
👉 前集005|耳が痛い忠言・諫言こそが、人を成長させる
一方で、失敗の後にこそ成功が訪れることもあります。
思うようにいかず、心が折れそうなときでも、
そこで手を放してしまっては、次の可能性は開けません。
転(別視点)
中国にも日本にも、「失敗は成功のもと」という言葉があります。
それが、洪自誠の時代、つまり1600年前後の中国古典にも
すでに明確に語られていることには、静かな感動を覚えます。
英語でも
“Failure teaches success.”
と表現されるように、失敗は単なる挫折ではなく、
成功への道筋を示してくれる教師のような存在です。
結(まとめ)
物事がうまく行っているときほど慎重に。
思い通りにいかないときほど、諦めずに手を離さない。
順境でも逆境でも、一喜一憂せず、
常に視野を広く持って対応する姿勢こそが、
長い人生を安定して歩むための要諦です。

