起 原文
藜口莧腸者 多氷清玉潔
袞衣玉食者 甘婢膝奴顔
葢志以澹泊明 而節従肥甘喪也
藜口莧腸(れいこうけんちょう)の者は、氷淸玉潔(ひょうせいぎょくけつ)多し。
袞衣玉食(こんいぎょくしょく)の者は、婢膝奴顔(ひしつどがん)を甘んず。
けだし、志は淡泊を以て明らかに、しかして節は肥甘より喪う。
藜口莧腸、藜(あかざ)の葉を口にして、莧(ひゆ)で腸を満たす意味で、粗食のこと
氷淸玉潔、氷のように清く、玉のように潔い意味
袞衣、天子の礼服.
承 意訳
粗衣粗食を座右の銘として生きる人の多くは、心が氷のように清く、玉のように潔いものです。
一方で、君主が着るような立派な衣服に身を包み、美食に強く執着する人は、下男や下女が主人に膝をついて媚びへつらうように、上役や権力者に追従することを厭いません。
これは、質素を尊ぶ人は名声や利益に過度な執着がなく、他人から何かを引き出そうとする必要がないためです。
反対に、華美や美食に拘る人ほど、名声や利益への欲求が強くなり、次第に心の美しさを失っていきます。
清貧の暮らしの方がかえって幸せという考え方もあります。
👉 後集053 無理に富を求めようとはせず、清貧の暮らしを楽しむ
転 別視点
粗衣粗食とは、決して貧乏くささや不潔さを意味するものではありません。
必要以上の華美を求めず、身の丈に合った生活を大切にする姿勢です。
この感覚に最も近い言葉が「清貧」でしょう。
また、袞衣玉食とは、単に良い服や美味しい食事を指すだけではなく、虚栄心を背景とした過剰な装いを含みます。
それは素直な自分の心から離れた世界であり、結果として自分自身に無理を強いる生き方になってしまいます。
結 まとめ
必要以上の物欲に縛られず、清貧を座右の銘として生きること。
名声や利益に拘り過ぎず、心の清らかさを失わない生き方を大切にしたいものです。

