起 原文
人知名位為樂 不知無名無位之樂為最真
人知饑寒為憂 不知不饑不寒之憂為更甚
人名位の楽たるを知って、名無く位なきの楽の最も真たることを知らず
人飢寒の憂いたるを知って、飢えず寒えざるの憂い更に甚だしきたることを知らず
承 意訳
世の中の人は名誉や地位の有る人が極楽と考えますが、名誉も地位も無いことが実は最も極楽な生き方です
→ 名誉や地位があると守るものが多く、それを失わないようにとの気苦労が多くなります
世の中の人は飢えや凍えることが憂いの極みと考えますが、飢えも凍えることもないことが最も憂いの極みです
→ 現状が安泰であれば、落ちぶれないかと気苦労が多くなります
転 別視点
将来のことを考えすぎて、今を楽しめなくなっていると感じることはないでしょうか。
人はどうしても、「もっと良くなりたい」「失いたくない」という思いを持ってしまいます。
その結果、まだ起きていない未来の不安にとらわれ、今この瞬間を楽しめなくなることがあります。
欲を持つこと自体は自然なことですが、
それが際限なく広がってしまうと、どこまでいっても満足できなくなります。
また、今がつらい状況であれば、
「これ以上悪くなるのではないか」という不安が生まれます。
一方で、安定した状況にあれば、
「この状態を失うのではないか」という別の不安が生まれます。
つまり、人はどのような状況にあっても、
心の持ち方次第でいくらでも不安を生み出してしまうのです。
だからこそ大切なのは、
未来を過度に心配するのではなく、
「今ある状態」に意識を向けることです。
目の前の一日を、そのまま受け入れて過ごす。
それが「日々是好日」という考え方につながります。
このような日々是好日の考え方は菜根譚の別の記事でも述べられています
👉 前集006|晴れ晴れとした気持ちで、喜びの心を持って生きる
👉 前集151 雑念を消し、苦痛を取り除けば、清い心と楽しさが自然と沸き上がります
👉 後集049 あるがままを楽しむ日々是好日
結 まとめ
名誉や地位があれば安心、とは限りません。
むしろ、それを守ろうとすることで、新たな心配が生まれることもあります。
また、将来への不安は、考え始めると尽きることがありません。
だからこそ、
まだ起きていないことに心を奪われるのではなく、
今この瞬間に意識を向けることが大切です。
「今あるもの」で満たされていることに気づく。
その積み重ねが、心の穏やかさにつながります。
日々の一つひとつを、過不足なく受け入れていく。
それが、無理なく心を整え、穏やかに生きるための一つの在り方ではないでしょうか。

