起 原文
受人之恩 雖深不報 怨則淺亦報之
聞人之悪 雖隠不疑 善則顕亦疑之
此刻之極 薄之尤也 宜切戒之
人の恩を受けては、深しと雖も報ぜず、怨みは則ち浅きも亦之を報ず
人の悪を聞いては、隠すと雖も疑はず、善は則ち顕はるも亦之を疑う
此れ刻の極にて、薄の尤なり、宜しく切に此れを戒むべし
尤(ゆう)、”最”と同意
承 意訳
他人から受けた恩恵がとても大きくてもそれに報いようとはせず、怨みに対しては少しであっても復讐する
他人の悪い話を聞いたときは疑問が残ったとしても疑わず、善い行いに対しては明白であってもこれを疑う
これこそは不人情の極みで、最も薄情なことです、厳に戒めるべきです
転 別視点
周囲から受けた恩恵は根拠なく当たり前に思えたり、怨みに関しては些細なことであってもいつまでも気になったりします。私自身も経験がありますが、人間のサガでしょうか。
他人の悪い話、不幸な話は蜜の味と言ったりします。善い話は噂にもなりません。お昼のワイドショーのネタがまさに前者を取り扱うことに集中して、視聴率を狙います。
こんなことが当たり前になっては、人間関係がぎすぎすして円滑に回らないことは明らかです。常にそうならないように自覚して戒めるようにする必要があります。その通りですね。
結 まとめ
恩恵であっても、怨みごとであっても、偏見を捨てて素直な心で対応します。他人の悪行は確信なく非難することなく、他人の善行は素直に称賛しましょう。
安岡正篤さんの著書に「五悪」と紹介されているものがあります
・仕事がよく出来て、心険しい
・行が偏向して、しかも頑固
・言うことが実は偽で、しかも口が達者
・くだらぬことばかり覚えて、しかも博識
・悪勢力に附いて、しかもよく恩を売る
(「安岡正篤一日一言」安岡正篤著)
菜根譚の「二悪」と同様に、悪は個人個人の天性や能力とは関係なく、小さな心掛けによって善悪が決まるということを言っています。
良い人間関係、良い人間社会のために、自分がそうならないように気を付けたいことばかりです。

